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設計用地震動作成

「港湾の施設の技術上の基準・同解説」[1]に従い、港湾施設におけるレベル2地震動をはじめとする設計用地震動(短周期)を作成します。

港湾設備におけるレベル2地震動とは

港湾施設の設置地点において発生が想定される地震動のうち、最大規模の地震動をレベル2地震動といいます。対象地震として、次の1.から6.に掲げる地震の中から総合的に判断して選定することとなっています。

  1. 過去に大きな被害をもたらした地震の再来
  2. 活断層の活動による地震
  3. 地震学的あるいは地質学的観点から発生が懸念されるその他の地震
  4. 中央防災会議や地震調査研究推進本部などの国の機関の想定地震
  5. 地域防災計画の想定地震
  6. M6.5の直下地震

地震動作成方法

まず、対象施設で作成対象とする地震を選び、それぞれの震源パラメータを設定します。南海トラフの巨大地震など海溝型の巨大地震に関するモデルについては、SPGAモデル[2]による震源パラメータ設定も可能で、90%非超過モデル・50%非超過モデルの設定もできます。また、伝播特性の設定とサイト特性の設定としてサイト増幅特性・位相特性の評価を行います。一般的には工学的基盤を対象としたサイト特性を用います。

地震動の作成では、半経験的手法の一種で小地震記録の位相特性を用いる「修正経験的グリーン関数法」を用いて波形合成を行います。

結果の評価では、作成した地震動の最大加速度・最大速度・PSI値を比較したり、代表的な強震記録との加速度応答スペクトルの比較を行います。

地震動作成の流れ
地震動作成の流れ
南海トラフ巨大地震SPGAモデルの設定例
南海トラフ巨大地震SPGAモデルの設定例
半経験的手法による強震動予測の概念図
半経験的手法による強震動予測の概念図[3]

[1]国土交通省港湾局監修:港湾の施設の技術上の基準・同解説, (社)日本港湾協会, 平成30年5月.
[2]野津厚:南海トラフの地震(Mw9.0)を対象としたSPGAモデルによる強震動評価事例, 土木学会論文集A1, Vol. 69, No. 4, I_872-I-888, 2013.
[3]山中浩明ら:地震の揺れを科学する みえてきた強震動の姿, 151pp, 東京大学出版会, 2006.